2011/03/09

ホームレス

私の働いている学校は生徒全体の10%以上がホームレスです。「ホームレス」と聞いて最初に連想するのは、橋の下でダンボールの箱で作った家に住む人たちかもしれませんが、現実はちょっと違います。家を失って、車で生活していたり、親戚の家に居候していたり、友達のカウチを転々としたり、ホームレス用シェルターに泊っていたり、というのがアメリカの子供連れのホームレスの現状です。

今日は仕事のあと、ホームレスシェルターを2軒見学しに行きました。自分の生徒がどんな環境で暮らしているのか、この目で見てみたかったので。

最初に行ったのは政府がやっているシェルター。ここは一度入れたら、次に住む先が見つかるまで滞在できるシェルターで、チャイルドケアから仕事探しの手助けまで、いろいろなサポートシステムが揃っています。でも、入り口には金属探知機が設置してあって、個々の部屋も小さく、施設自体は最低限の造りになっています。ここでは偶然にも去年受け持った生徒に会い、学校も家も転々としている彼の日々を想いました。

次に行ったのは、政府からの援助を受けていない、個人が始めた募金だけで成り立っている施設。これがとても興味深かった。その施設の創始者は毎日シェルターの近くの建物にいます。シェルターに入りたい人や、必要なものがあるけどお金がない、などという人はその建物へ創始者に会いに行きます。家族と会って、創始者が「よし」と思えばシェルターに入れますし、「ちょっと違うな」と思えば入れません。まさに神の一声。毎日彼女に会うために長蛇の列ができるそうです。でも、このシェルターはどれくらいの長さ滞在できるか等は決まっておらず、何の前触れもなく追い出されてしまうこともあるそう。慈悲があるのかないのか、よく分かりません。この創始者、かなりすごい人らしく、ローマ法王から何百足のイタリア製靴の寄付が届いたりするそう。
こちらの建物はもう少し充実していて、個々の部屋も家族向けで広くなっています。寄付だけで、これほどの施設を運営し続けていることに驚かされました。

衣食住ほど人間の暮らしの基礎となっているものはありません。それを持たずに長い間暮らしている人々、我が家を持たずに育っていく子供達。貧困は私達の本当にすぐ傍にあるのです。

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